やまだようこ HP
京都大学名誉教授
もの語り心理学研究所
ナラティヴと質的研究会
<meta name="google-site-verification" content="jZivvy7zwculmhXWA00Up_gb95Iqd2jqoTaf2dfAAUI" />
やまだようこ
Dr. Yoko Yamada
京都大学名誉教授
教育学博士
立命館大学OIC総合研究機構上席研究員
ものがたり心理学研究所長
臨床発達心理士、日本質的心理学会理事、日本質的心理学会学会賞など受賞多数。
専門 ナラティヴ心理学 生涯発達心理学 質的心理学
やまだようこ 研究紹介
私の研究テーマ
私のテーマは人生心理学です。「人は人生をいかに生きるか」という大きな問いを、ナラティヴ(もの語り)アプローチから探求しています。専門は、生涯発達心理学とナラティヴ心理学です。
人は人生を生きるうえで、病気、障害、災難、失業、老い、死など、こんなはずではなかったという出来事や喪失、さまざまな否定的出来事に出会います。起こってしまった人生の出来事そのものは変えられないかもしれませんが、それをどのような経験として意味づけるかは、ナラティヴによって変わります。ナラティヴは、経験の組織化のしかたや意味づけかたのことです。人生のおもしろさは、たとえ否定的な経験でも、もの語りの力によって、ものの見方や意味づけを変え、肯定的に行き直していくダイナミックな心理転換ができることでしょう。
多様な人々のさまざまな生き方の心理的しくみ「人間ってすばらしい、こんなふうにも生きられる!」に驚き、学び、伝えていくことが私の仕事です。
<生涯発達心理学><質的心理学>
人はどのように人生を生きるのかをテーマに、質的心理学の方法で研究してきました。『生涯発達心理学とは何か』(金子書房)『質的心理学ハンドブック』(新曜社)など。
<ことばの発達>
子どもがことばをどのようにして話すようになるのか、コミュニケーションの原点とは何か?などを探究してきました。『ことばの前のことば-うたうコミュニケーション』『ことばのはじまり-意味と表象』『ものがたりの発生-私のめばえ』(新曜社)など。
<ナラティヴ心理学>
ナラティヴ(もの語り)研究やライフストーリー研究によって、人が人生をどのように人生を語り、意味づけ、変化させていくのかということも研究してきました。『喪失の語り-生成のライフストーリー』(新曜社)、『人生を物語る』(ミネルヴァ書房)など。
<ビジュアル・ナラティヴ>
ビジュアル・ナラティヴとは、視覚的イメージによって語ることです。イメージによる語りは、文化を超えた共感的コミュニケーションに優れています。『私をつつむ母なるもの-イメージ画にみる日本文化の心理』(有斐閣)、『この世とあの世のイメージ-描画のフォーク心理学』(新曜社)など。
*今の私がちばん関心をもっているテーマです。
<写真の説明>
『私をつつむ母なるもの』にちなんで書いた「包む」は、中学2年生の国語教科書(教育出版)に掲載されました。「包む」は、「ふろしき」など国際的な観点からの日本文化の見直しにつながり、今も多く引用されつづけています。写真は、岡秀行さんが海外で開催してきたTutumu展に関する本の表紙と、「包む」が掲載された教科書の口絵です。
おもな経歴
おもな学歴
1966年4月 名古屋大学文学部哲学科入学 (1970年3月 同心理学専攻卒業)
1974年4月 名古屋大学大学院教育学研究科博士前期課程入学 (1976年3月修了)
1976年4月 名古屋大学大学院教育学研究科博士後期課程入学 (1978年3月退学)
1988年5月 教育学博士(名古屋大学)
おもな職歴
1988年4月 愛知淑徳大学文学部 教授(1997年3月まで)
1990年4月 イギリス オックスフォード大学在外研修(1991年3月まで)
1997年4月 京都大学教育学部教授(1998年3月まで)
1998年4月 京都大学大学院教育学研究科 教授(2012年3月まで)
2001年9月 イギリス オックスフォード大学在外研修(2001年11月まで)
2012年4月 京都大学名誉教授(現在に至る)
2012年4月 立命館大学衣笠総合研究機構 特別招聘教授(2018年3月まで)
2018年4月 立命館大学OIC総合研究機構 上級研究員(現在に至る)
おもな学会活動
専門は、生涯発達心理学、ナラティヴ心理学。日本質的心理学会の設立にかかわる。
日本質的心理学会理事長、日本心理学会理事、日本発達心理学会理事、日本学術会議委員など歴任。臨床発達心理士。
おもな研究プロジェクト(科学研究費)研究成果は KAKEN 参照
https://nrid.nii.ac.jp/ja/nrid/1000020123341/
基盤研究C(研究代表者)平成10年4月-平成13年3月
現代日仏青年の他界観の生涯発達心理学的研究
基盤研究A(研究分担者)平成10年4月-平成13年3月
子どもたちの『居場所』と対人関係の現在
基盤研究B(研究代表者)平成13年4月-平成16年3月
人生サイクルと他界イメージの多文化比較による生命観モデルの構築
基盤研究B(研究代表者)平成16年4月-平成20年3月
フィールドの語りをとらえる質的心理学の研究法と教育法
基盤研究A(研究代表者)平成20年4月-平成25年3月
多文化横断ナラティヴ・フィールドワークによる臨床支援と対話教育法の開発
基盤研究A(研究分担者)平成22年4月-平成26年3月
他者をまえにした対人支援の問題の社会学的分析に基づく支援システムのデザイン
挑戦的萌芽研究(研究代表者)平成22年4月-平成25年3月
三項関係ナラティヴ・ミーディアムの開発-糖尿病患者と医師の支援と教育
挑戦的萌芽研究(研究代表者)平成25年4月-平成28年3月
三項関係ナラティヴによる心理支援モデル-医療と教育の媒介ツールの開発
挑戦的萌芽研究(研究代表者)平成28年4月-令和2年3月
「かわいい」とは何か-ビジュアル・ナラティヴによる多文化心理学の異種むすび法
おもな著書
やまだようこ 著作集(新曜社)刊行中
第1巻『ことばの前のことば-うたうコミュニケーション』
第2巻『ことばのはじまり-意味と表象』
第3巻『ものがたりの発生-私のめばえ』
第8巻『喪失の語り-生成のライフスト-リー』
第10巻『世代をむすぶ-生成と継承』
やまだようこ(著)
『私をつつむ母なるもの-イメージ画にみる日本文化の心理』(有斐閣)
やまだようこ(編)
『人生を物語る』ミネルヴァ書房
『人生と病いの語り』東京大学出版会
『質的心理学の方法-語りを聴く』新曜社
『この世とあの世のイメージ-描画のフォーク心理学』新曜社
『現場(フィールド)心理学の発想』(新曜社)
『ナラティヴとケア 9号 ビジュアル・ナラティヴ』(遠見書房)など。
「ことばとは何か?」は、私の大きな研究テーマのひとつです。0歳から3歳までの「ことばが生まれたすじみち」を追った著作集の1巻~3巻は、ことばにならない「ことばの前のことば」や「ジェスチャーや行為」を含めて、ことばを広く深くとらえ、「うたうコミュニケーション」「指さしと三項関係」「静観的認識」「意味と表象」「私のはじまり」などことばの原点に迫っています。
おもな著書
『私をつつむ母なるもの-イメージ画にみる日本文化の心理』
描画イメージをもとに「つつむ母と入れ子の私」という「かたち」を日本文化のキーワードとしてとらえた本です。国語の教科書にもとりあげられました。
『人生を物語る-生成のライフストーリー』
ナラティヴ・アプローチの先駆になった本ですが、2000年の発売以来今も刷りを重ねて、さまざまな分野の方々に読まれている隠れたベストセラーです。
『この世とあの世のイメージ-描画のフォーク心理学』
日本、フランス、イギリス、ベトナムの大学生が描いた「この世とあの世の人の関係」と「たましいの移行プロセス」の多文化イメージ画を分析し、ビジュアル・ナラティヴの方法論も論じています。
おもな著書
『喪失の語り-生成のライフストーリー』
失うことと生きることの深い意味を探ります。人生とは失うことでもあります。失うことの意味をことばにするとき、もの語りが生まれます。
『世代をむすぶ-生成と継承』
私は人生を生きるここと学問することを切り離すことはできません。人生をかけて「質的心理学」という新しい学問分野を仲間たちと生成し、日本質的心理学会をつくってきました。私の人生と質的研究について、さまざまな世代や分野の方々と語っています。
ビジュアル・ナラティヴとは?
ビジュアル・ナラティヴとは、視覚イメージによるもの語りです。もの語りとは、経験を組織化する行為ですが、それは、ことばだけで行われるのではありません。ナラティヴの言語中心主義から脱却して、ビジュアル・ターンをしてみましょう。視覚的イメージ、イマジネーションそのものが、私たちに語りかけてくる働きがあります。ビジュアル・ナラティヴは、新しいものの見方と表現を変革するでしょう。
1 関係性の変革-二項関係から三項関係へ。
対面して対話する二項関係から、ビジュアル媒介に共に並んで見る三項関係にかわります。二項関係は、敵対する関係にもなりますが、三項関係は共存的な並ぶ関係になります。
2 時間概念の変革-時間と空間の分割を超えて
従来のことばによるナラティヴは、「はじめ-中間-おわり」などの時間系列に縛られていました。ビジュアル世界は、空間と時間を分割せず、時空間を一体化して自由に移動可能です。
3 身体概念の変革-メタファーによる外在化と変形
身覚感覚はイメージとメタファーによって表現されることで、直感的に把握され、変形も可能になります。身体感覚を変化させることによって、病気や障害など医療ナラティヴに役立ちます。
4 自己とアイデンティティ概念の変革-多声的自己の同時共存
私たちは、いつでも、どこでも同じで、連続しているという考え方が、従来の自己アイデンティ(同一性)の概念でした。しかし、ピカソの絵のように、文脈や視点が変われば、自己は変わり、多様な自己が共存することも可能です。
5 情報処理の変革-短時間で全体イメージを把握
視覚イメージは、一つずつ積み重ねるのではなく、短時間で全体イメージを把握できる、すぐれた情報処理能力をもっています。膨大な文献の知識を、一枚の曼荼羅で表現することも、それを直観的に了解することも可能です。
6 コミュニケーションの変革-認知から共感へ
言語は認知や概念化の働きに、視覚イメージは感情表現や共感機能に優れています。人は理論よりも感動や共感によって動きます。視覚イメージは、共感的コミュニケーションに役立ちます。
7 教育の変革-記憶から創造性へ
人類にとって過去を記憶し、伝統文化を蓄積することは、生存のために重要でした。次世代の教育も記憶能力の育成が中心でした。しかし、今や私たちは、コンピュータやAIなど膨大な記憶装置を手に入れました。人類は、いかにそれらを生成的に組み合わせて、新しいものを創造できるかが重要になります。
参考)やまだようこ(編)N:ナラティヴとケア 第9号──ビジュアル・ナラティヴ:視覚イメージで語る 遠見書房
もの語り心理学研究所
もの語り心理学研究所 Institute of Narrative Psychology
所長 やまだようこ
人も組織も、もの語り(Narrative)で生きています。
もの語りが変わると、人も組織も変わります。
もの語りは、未来を変えます。
あなたも、新しいもの語りを生きてみませんか?
もの語り(Narrative)とは?
もの語りとは、経験を組織化する働き、意味を生み出していく行為、一種の編集作業のことです。
私たちは、目の前のものをありのままにすべて見ているわけではなく、起こった出来事をそのまま記憶しているのでもありません。
私たちは、ある種の編集作業をしながら、「出来事」「経験」を有機的に組織化し、意味づける行為をしながら、生きています。
私たちの自尊心や信念や価値観、人との関係のもちかた、生活のしかた、ものごとをすすめる手順なども、「もの語り」の一種だといえるでしょう。
もの語りを変えるとは?
「また失敗しちゃった」「私は何をやってもだめだ」「どうして私が病気になったのか」「あのとき、あれさえしなければ」「こんなことになったのはあの人のせいだ」「この会社は昔からこうしてきたから」など、自分で自分に言い聞かせているもの語りに気づいたことはありませんか。
自分がどのような「もの語り」で生きているか、「私のものがたり」に耳をすませてその声を聴いてみませんか。
もの語り心理学は、自分やまわりの人々や組織などが、どのような「もの語り」を生きているかを自覚し、それが「いきづらい」「硬直している」「不仕合わせ」なときに、もの語りを変えて、新しい生き方をひらいていく方法を支援します。
協力いたします
講演・研修講師など。ご依頼やお問いあわせは、下記の専用アドレスへ。
ものがたり心理学研究所 psynarrative[at]gmail.com ([at]は@に)
講演・研修会の例
《企業・団体》コンサルタント、人材育成研修、リーダーシップ研修、コミュニケーション法、ナラティヴ・ワークショップ、ビジュアル・ナラティヴ・ワークショップ、講演
《医療・福祉》医療ナラティヴ研修、ことばの発達支援研修、老人福祉研修、ナラティヴ・ワークショップ、ビジュアル・ナラティヴ・ワークショップ、講演
《学校・学生》ナラティヴ・ワークショップ、インタビュー法、ビジュアル・ナラティヴ、質的研究法、キャリア教育、講演
《個人》「ナラティヴ」「質的心理学」の大学院修士論文、博士論文等の個人指導
最近のおもな講演・ワークショップなどの実績
- もの語りと生成力-ビジュアル・ナラティヴ 「ナレッジ・フォーラム」如水会館
- もの語りが心を動かす-ビジュアル・ナラティヴを活かす ホンダ研修会
- ビジュアル・ナラティヴ-身体イメージともの語り的自己 ワコール人間科学研究所
- 病いの語りと医療 鳥取大学
- 人生をもの語る-負の体験の語り直しとキャリア発達 筑波大学
- ビジュアル・ナラティヴとケア 九州大学、名桜大学、駒澤大学
- ビジュアル・ナラティヴの時空間 駒澤大学
- ことばを超えることば-ビジュアル・ナラティヴ 立命館大学
- ビジュアル・ナラティヴ・ワ-クショップ 立命館大学、武蔵野美術大学、関西大学
- ナラティヴ・ワークショップ-ナラティヴをどのように教育にとり入れるか 関西大学
- なまの事例と生きたナラティヴ-実践と研究を往還しよう 中京大学
- ことばの前のことば 愛知医科大学
- 前言語期のコミュニケーション 京都教育大学
- 喪失の語り-失うことと生きること 上智大学
- 喪失の語りとグリーフケア 京都グリーフケア協会
- 喪失の語り-しなやかに生きる 西本願寺
私のこと
私は、自然と詩が好き、山歩き、猫、美術や骨董が好きです。最近は、俳句にめざめ、鉱物や化石の収集にはまっています。
歳をとることは、おもしろい冒険です。いまここで出会う世界は、ふしぎな驚きと感動に満ちています。何歳になっても、いままで知らなかった新しい世界に出会います。
鉱物や化石に関心をもつようになって、
何臆年のスケールでもの想うようになりました。いくつもの時空間が交差して、どんどんひろがっています。
このサイトの「今月のことば」では、毎月の出来事や俳句(俳号 ふゆめ)などを掲載しています。
「原稿」には、公刊された本の一部や未発表原稿などを掲載しています。
学問とライフは別々ではありません。
ライフワークとしての研究への情熱はまだつづいていますが、自然と歴史と偶然の贈り物を楽しみ、俳句をつくりながら,日々暮らしています。
すべてが、ビジュアル・ナラティヴの生活実践の一環といえましょう。